運命とか勘弁してほしい!
おかしな世界と運命
目を覚ますと、あたしは体が動かなかった。まるで縛り付けられたかのように首一つ動かない。どうなってるんだと叫ぼうとして口から出たのは、日本語とも何語とも言えない声だった。

「あらあら、どうしたの?琴葉ちゃん」

「お腹が空いたのか〜?」

そう言いながらあたしを覗き込んでくるのは、お父さんとお母さんだった。仕事が忙しくて実家に帰れず、二人の顔を見れて思わず泣きそうになる。

(お父さん!お母さん!)

そう言いたいけど、言葉が出てこない。するとお母さんに抱き上げられ、視界が高くなる。そこで気付いた。目の前にある鏡台に映った自分は赤ちゃんだった。よく見ると、家具の配置なども実家と同じだ。

(転生ってあの神様言ってたけど、これじゃ転生じゃなくて人生のやり直しじゃないの?)

普通の転生ものなら、魔法がある世界に生まれ、前世の自分とは全く違う容姿というのも珍しくない。でも目の前にいるのは間違いなく美澄琴葉と両親だ。
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