気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする
通されたのは十畳程の畳敷きの和室で、中央には藍色のラグが敷かれていた。その上に木目のテーブルと椅子四脚が。
部屋から直接中庭に降りられる造りで、日本庭園を眺めながら食事が出来るようになっている。
かなりシンプルな印象の部屋だが、何点か置いてある調度品は皆品がよく高級感がある。
一通り部屋の様子を眺めてから、颯斗と向かい合わせでテーブルに着いた。
お品書きが見当たらず颯斗に聞くと、お任せコースしかないとのこと。
ただ今日は店員の出入りを最小限にしたい為、特別メニューをお願いしたそうだ。
そんな融通が利くと言うことは、颯斗はこの店の上客だと言える。
しばらくすると料理が運ばれて来た。旬のものを贅沢につかった季節料理で、全体の量は一般的な懐石料理よりも少なく感じた。
数日前に連絡を取り合ったとき、食事の好き嫌いや量を聞かれたときに答えた内容が、しっかり反映されている。
上品な和食の中で、ホタテの貝殻を器とした海鮮ときのこのグラタンがあるのが意外だったが、咲良が「グラタンが好き」と言ったのをそのまま店に伝えてくれたのだろうか。
「すごく美味しいです」
「それはよかった」
咲良が漏らした素直な感想に颯斗が嬉しそうに目を細める。
彼は食事の間、仕事でのハプニングで困った話などをジョーク混じりに語り、咲良をたのしませてくれた。
軽い話題で場を和ませる気遣いをしながらも、食のマナーは完璧で隙がない。
箸の運び方や魚の骨の取り方など、どれをとっても見本にしたいくらい綺麗な仕草だった。
咲良は秘書になると決まったときに、冠婚葬祭や食事会などでの立ち振る舞いに自信がなくて短期のマナー講習を受け一通り身に着けたつもりでいた。
しかし颯斗は付け焼き刃の咲良とは全然違う。まるで講師のように自然に苦もなく振舞い完璧な所作を見せる。それは彼の育ちの良さを示しているように感じた。
(渡会さんって、会社を立ち上げる前は大手IT企業で働いていたそうだけど)
会社情報で公開されている経歴は前職と出身大学くらい。彼の家庭環境などは分からないがよい家の令息なのかもしれない。それにしても。
(私は渡会さんのことを何も知らないな)
彼はどんな環境で成長したのだろう。好きなものは? 苦手な事は?
理解するにはまだ彼との時間が少なすぎる。
部屋から直接中庭に降りられる造りで、日本庭園を眺めながら食事が出来るようになっている。
かなりシンプルな印象の部屋だが、何点か置いてある調度品は皆品がよく高級感がある。
一通り部屋の様子を眺めてから、颯斗と向かい合わせでテーブルに着いた。
お品書きが見当たらず颯斗に聞くと、お任せコースしかないとのこと。
ただ今日は店員の出入りを最小限にしたい為、特別メニューをお願いしたそうだ。
そんな融通が利くと言うことは、颯斗はこの店の上客だと言える。
しばらくすると料理が運ばれて来た。旬のものを贅沢につかった季節料理で、全体の量は一般的な懐石料理よりも少なく感じた。
数日前に連絡を取り合ったとき、食事の好き嫌いや量を聞かれたときに答えた内容が、しっかり反映されている。
上品な和食の中で、ホタテの貝殻を器とした海鮮ときのこのグラタンがあるのが意外だったが、咲良が「グラタンが好き」と言ったのをそのまま店に伝えてくれたのだろうか。
「すごく美味しいです」
「それはよかった」
咲良が漏らした素直な感想に颯斗が嬉しそうに目を細める。
彼は食事の間、仕事でのハプニングで困った話などをジョーク混じりに語り、咲良をたのしませてくれた。
軽い話題で場を和ませる気遣いをしながらも、食のマナーは完璧で隙がない。
箸の運び方や魚の骨の取り方など、どれをとっても見本にしたいくらい綺麗な仕草だった。
咲良は秘書になると決まったときに、冠婚葬祭や食事会などでの立ち振る舞いに自信がなくて短期のマナー講習を受け一通り身に着けたつもりでいた。
しかし颯斗は付け焼き刃の咲良とは全然違う。まるで講師のように自然に苦もなく振舞い完璧な所作を見せる。それは彼の育ちの良さを示しているように感じた。
(渡会さんって、会社を立ち上げる前は大手IT企業で働いていたそうだけど)
会社情報で公開されている経歴は前職と出身大学くらい。彼の家庭環境などは分からないがよい家の令息なのかもしれない。それにしても。
(私は渡会さんのことを何も知らないな)
彼はどんな環境で成長したのだろう。好きなものは? 苦手な事は?
理解するにはまだ彼との時間が少なすぎる。