気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする
「では早速システムの説明をしますね。このノートパソコンは咲良さんに支給されたものなので自由に使ってください。セキュリティパスは……」
おっとりした口調の羽菜だが、仕事ぶりは要領よくてきぱきしていた。颯斗の専属秘書ではないが、その役割を担っていたようだった。
質問すると、迷いのない回答を貰える。咲良の教育係に選ばれた理由が分かった。
新たな知識を吸収することに集中しているうちに、あっという間に昼休憩の時間になっていた。
羽菜がランチに選んだのはオフィスから徒歩十分程のテラス付きカフェだった。
パンケーキとフライドチキンが人気とのことで、咲良はどちらも入っているセットとカフェラテを注文した。
羽菜はクラブハウスサンドとカルボナーラを選んでいた。見た目よりも大食いのようで、咲良は目を丸くした。
「今日は咲良さんと交流を深めるために、長めに休憩を取る許可を貰っているんです」
「そうなんですね」
「まだ半日ですけど、どうですか?」
クラブハウスサンドをかじりながら羽菜が問う。
「社内のルールもシステムも前職と何もかも違うので慣れるまでが大変そうです。でも活気に溢れたオフィスで、やる気が湧いてきます」
まだ颯斗と仕事で関わることはないけれど、彼の仕事ぶりは多少目にすることが出来た。
「やる気があればすぐに馴染むことが出来ますよ。システムが違っても秘書の仕事の基本は多分一緒でしょうから。むしろ秘書業務は私が教えて貰う立場です」
「羽菜さんは秘書として入社したんじゃないんですよね?」
以前颯斗がワタライワークスには専属秘書はいなかったと言っていたのを思い出した。
「ええ。私は入社した当時はとくに決まった役目はなかったんですよ」
「そういう形の採用もあるんですか?」
「私の場合は特殊なんです。これは妹の話とも繋がるんですけど」
羽菜は話辛いのか一度言葉を切る。
「ここからはプライベートの話として聞いて欲しいんですけど」
一段と声をひそめる羽菜に、咲良はやや緊張して頷く。
「はい」
「咲良さんが妹に会ったのは、颯斗さんの紹介かなにかですよね」
咲良はそうだと相槌を打ったが、内心、羽菜が「颯斗さん」と呼んだことに驚いていた。
けれど考えてみたら、初対面の時も彼女は颯斗を名前で呼んでいた。だから咲良はふたりが恋人同士だと誤解したのだ。
おっとりした口調の羽菜だが、仕事ぶりは要領よくてきぱきしていた。颯斗の専属秘書ではないが、その役割を担っていたようだった。
質問すると、迷いのない回答を貰える。咲良の教育係に選ばれた理由が分かった。
新たな知識を吸収することに集中しているうちに、あっという間に昼休憩の時間になっていた。
羽菜がランチに選んだのはオフィスから徒歩十分程のテラス付きカフェだった。
パンケーキとフライドチキンが人気とのことで、咲良はどちらも入っているセットとカフェラテを注文した。
羽菜はクラブハウスサンドとカルボナーラを選んでいた。見た目よりも大食いのようで、咲良は目を丸くした。
「今日は咲良さんと交流を深めるために、長めに休憩を取る許可を貰っているんです」
「そうなんですね」
「まだ半日ですけど、どうですか?」
クラブハウスサンドをかじりながら羽菜が問う。
「社内のルールもシステムも前職と何もかも違うので慣れるまでが大変そうです。でも活気に溢れたオフィスで、やる気が湧いてきます」
まだ颯斗と仕事で関わることはないけれど、彼の仕事ぶりは多少目にすることが出来た。
「やる気があればすぐに馴染むことが出来ますよ。システムが違っても秘書の仕事の基本は多分一緒でしょうから。むしろ秘書業務は私が教えて貰う立場です」
「羽菜さんは秘書として入社したんじゃないんですよね?」
以前颯斗がワタライワークスには専属秘書はいなかったと言っていたのを思い出した。
「ええ。私は入社した当時はとくに決まった役目はなかったんですよ」
「そういう形の採用もあるんですか?」
「私の場合は特殊なんです。これは妹の話とも繋がるんですけど」
羽菜は話辛いのか一度言葉を切る。
「ここからはプライベートの話として聞いて欲しいんですけど」
一段と声をひそめる羽菜に、咲良はやや緊張して頷く。
「はい」
「咲良さんが妹に会ったのは、颯斗さんの紹介かなにかですよね」
咲良はそうだと相槌を打ったが、内心、羽菜が「颯斗さん」と呼んだことに驚いていた。
けれど考えてみたら、初対面の時も彼女は颯斗を名前で呼んでいた。だから咲良はふたりが恋人同士だと誤解したのだ。