拾われデザイナーと魅惑のランジェリー 〜副社長は名ばかり婚約者を溺愛中〜

5 極上の睡眠

ディナーを済ませて部屋に戻ってきた私たちは、それぞれの部屋の前で「おやすみなさい」と別れた。せっかく着た服も、予定が終われば脱がなければならない。寝間着に着替えれば、まるで魔法の解けたシンデレラだ。

ゴロンとベッドに横になった。目をつぶれば、先ほどの崇臣さんの笑みが頭に浮かんで離れない。いつの間にこんなに好きになっていたのだろう。

崇臣さんの寝ているらしい、隣の部屋の方を向いた。

『寝室は一つ壁を隔てた隣』

崇臣さんがそう言ったことを思い出し、それだけで心臓がうるさく騒ぎ出す。好きになっても意味のない、叶わない恋なのに。

部屋の明かりを消しても、目がさえてしまう。こんな気持ちは初めてで、どうしていいか分からない。

ベッドに横になっていても、眠れないことがあるなんて。今まで眠れなかった夜は、仕事に夢中になっていた時だけだ。

――そうか、眠れないなら仕事をすればいい。ランジェリーのパターン制作が、まだ途中だったはずだ。

私は寝室を抜け出し、アトリエに向かった。
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