恋の病に、堕ちてゆく。
今日もシャワーのお湯が傷口に染みた。

この程度で済んだからいいけど…本当に手荒だよね。

腫れ具合はだいぶマシかな…。赤みもとれてきたし。


お風呂に浸かる元気はなく、試しに持って来た手鏡は曇ってしまっていて役に立たなさそうだ。


髪と身体を洗い、早々に風呂場から出た。


今まで湯船に浸かりながら音楽を聴いたり動画を見たりしてたのに、お風呂に入ることがこんなに億劫なのは久しぶりだ。


着ていた衣類を洗濯機から乾燥機に移して、いよいよ傷薬の入った容器の蓋を開ける。医療用の大きめの綿棒と、ガーゼ、包帯も用意されていた。

曇った手鏡をタオルで拭い、洗面台の前にある大きな鏡と組み合わせて使ってみる。

よく見えた。風呂場で見るよりも、はっきりと傷口が映り、思わず身震いしてしまった。

気持ち悪い…。

こんな気持ち悪い傷は人様に見せられたもんじゃないよ。
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