恋の病に、堕ちてゆく。
カレーライスは意外にも甘口だった。私に合わせてくれたのだろうか。

サラダにかかったドレッシングも程よく酸味が引き立てられ美味しい。


「そういえば、散歩に行きたいって?」

「散歩?」

「四季からそう聞いたんだけど、合ってる?」

窓の外を覗いていたことも話したのだろうか。
怒っているようには見えないけど…。


「彼の方から私の好きなところに行こうって…」

「そうだと思った」

「無理だってことくらい私にも分かっているので、さすがにそんな無茶なことは言いませんよ」

誘拐されている身分だってことは忘れてないよ。
そんな脱走されるリスクが高いことを、わざわざ誘拐犯がするとは思えない。
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