恋の病に、堕ちてゆく。
四季のように私に希望を持たせて、結局はノーのパターンだろう。そんなに私って単純に見える?
まだスパッと切り捨ててくれた大我の方がマシだよ。


「別にいいです、勉強もあるので」

反応してやるもんか。


「…はかどった?」

「はい。先生がちょうど私の苦手ツートップの数学と古典を持ってきてくれたので、ここで理解が遅れていた分を取り戻そうと思います」

大丈夫、まだ息は詰まってないし、勉強もあるし。


「無理しない程度にね」

「はい。あ、シャーペンは借りっぱなしでも大丈夫ですか?」

「うん、どうぞそのまま使ってて」


衣食住が整った監禁生活を送らせてもらっている。これ以上、何かを望むつもりはない。だから一刻も早く家に帰らせて欲しい。望むことは、それだけだ。
< 117 / 261 >

この作品をシェア

pagetop