恋の病に、堕ちてゆく。
両親の身になにかあれば、私がここで監禁されている意味がないから、無事でいるはずだ。

怪我とかしてないといいけど…。


「返すよ、必ず加奈ちゃんをご両親の元に返すよ」


青波は急に起き上がり、ベッドの上であぐらをかいた。


「ご両親も危害は加えられていないし、すぐにまた会える」


まるでその言葉が真実であるかのように、真剣に伝えられた。

誘拐犯の言葉を鵜呑みにしてはいけないと頭では理解しているけど、心はそうであって欲しいと願ってしまう。期待してしまう。


「本当に?」

口から心の声が漏れた。
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