恋の病に、堕ちてゆく。
大我が運転する車に乗り込む。

真夜中2時、昨日の男が逮捕され、私たちの空気は軽いものになっていた。

それでも青波と四季は窓から目を離さず、外の様子をずっと確認していた。水族館の時と同じだね。

四季でさえ必要最低限のことしか喋らず、私もみんなの邪魔をしないように用意してもらったサンドイッチを頬張りながら静かにしていた。

なんか私だけ呑気で申し訳ないな。


それから1時間程、車を走らせたところで見覚えのある建物の前に止まった。
都内にあるお父さんの勤める研究所だった。

警備の人やお巡りさんが立っていて、威圧感が漂う。前に来た時は入り口に警備のおじさんが1人だけだったけどな…。


「お疲れ様です」


大我が窓を開けてそう声を掛けると、敬礼と共に中に通された。

やっとお父さんに会えるんだ。
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