幼なじみの不器用な愛し方
スカートの裾をぎゅっと握り締めた時、谷瀬くんの表情がリボンが解けるようにふわりと和らいだ。


「美月先輩、難しい顔してる」

「それは……」

「もしかして俺、今から振られます?」


あまりに穏やかな声で言われて、一瞬、言葉の意味を飲み込めなかった。

目を見開いたわたしに、谷瀬くんが困ったように笑う。


「正解かぁ。違ったらいいなーと思って、あえて言ってみたんですけど、顔に書いてあるんだもんなぁ。

もしかして、今朝、校舎から門の方見てたのも関係ありますか?」

「き、気付いてたの……!?」

「遠目にですけどね。なんか理由あるのかなーって、気付いてないフリしてました」


そ、そうだったんだ……。

盗み見していた罪悪感と羞恥心が沸きかけて、すんでのところでそれを押し留める感情があった。

谷瀬くんは、わたしが下した決断を察しているのだ。

わたしも、腹を括らなくちゃ。


「……ごめんなさい。わたし、谷瀬くんの気持ちには応えられません」


膝に手をついて、頭を下げた。

すぐに顔を上げたのは、谷瀬くんの目を見て、この先の言葉を紡ぎたかったから。
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