幼なじみの不器用な愛し方
「谷瀬くんの気持ち、とっても嬉しかった。大切にしてくれてること、いっぱい伝わってた。ほんとだよ。

……ただわたしが、他に、好きな人がいる」


お腹に力を込めたけれど、最後の言葉は色んな感情が混ざり合って声が震えた。

視線の先にいる谷瀬くんは怒っても泣いてもいない。ただ真っ直ぐな目で、わたしを見ている。

そういう真摯なところが、たくさんあるあなたの魅力の一つだと思う。


「……1つ、聞いてもいいですか」

「うん」

「先輩にとって、おれは今でもただの後輩ですか?」


わたし達だけがいる屋上に風が吹いて、彼の柔らかそうな髪を持ち上げた。

その姿を見てももう、出会った頃みたいにわんこだなんて思わない。


「わたしにはもったいないくらいの、素敵な男の子だよ」


谷瀬くんの透き通った瞳がわずかに揺れた気がした。

目を見開いて、口をきゅっと引き結んで、それからすぐに、表情が緩められる。


「……よかった。おれ、ちゃんと土俵に上がれてたんだ」

「え……?」
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