幼なじみの不器用な愛し方
わたしの肩に有斗は顔を埋め、抱き締める腕に力が込められた。

少し震えているような気がして、鼻の奥がツンとする。有斗の想いの強さが痛いくらいに伝わる。


「ずっと待っていてくれてありがとう。好きでいてくれてありがとう」


有斗の背中に腕を回し、出来る限り力を込める。


「わたしも、有斗のことが好きだよ」


噛みしめるように言った言葉は、わたしの深いところにすとんと落ちる。

あれだけ悩んでいたのが嘘みたいに、有斗に向ける感情には恋という名札がしっくりくる。


でもきっと、必要な要因が全て揃わなければ、わたしはそれに気付くことが出来なかった。

幼なじみって、なんて厄介で、なんて愛おしい存在なんだろうね。


「もっかい言って」

「有斗が好き」

「もっかい」

「大好き。これからも、有斗の隣にいさせて」


有斗の大きな手が、わたしの頬を包み込んだ。

至近距離に有斗のガラス玉みたいな瞳があって、その中には有斗を見上げるわたしがいる。

宝物を扱うような手つきが妙に心地よくて、わたしはそっと目を閉じた。
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