幼なじみの不器用な愛し方
幼なじみは浮かれています。
想いが通じ合って、わたし達は恋人になった。
本来だったら幸せ絶頂……のはずなんだけど。
「納得いかねー」
土曜日の夜。
すっかり元気になり朝から仕事に行っていた有斗が、盛大に頬を膨らませて訪ねてきた。
ちょうどお風呂から上がったところだったので、肩にかけたタオルで髪を拭きながら応対する。
「どしたの、そんなにむくれて」
「……美月と付き合ってんの隠せって、近藤さんに言われた」
子どもみたいに唇を尖らせている有斗に、わたしは目を白黒させる。
「えーっと……」
「やっと俺のもんだって言えると思ったのに……」
「言うつもりだったの!?」
思わず声を大きくしたわたしを、有斗はじとっとした目で見た。
「何その反応」
「だ、だって。普通の高校生ならまだしも、有斗だよ? 付き合ってるって知れたら大騒ぎになるよ」
「周りなんか言わせとけばいいじゃん」
「そういうわけにもいかないって、有斗が一番わかってるでしょ?」
有斗は人気モデルだ。
ドラマ出演を機にSNSのフォロワーは急増したし、初めて挑戦した演技だって評判は悪くないみたいだと結子から聞いている。
本来だったら幸せ絶頂……のはずなんだけど。
「納得いかねー」
土曜日の夜。
すっかり元気になり朝から仕事に行っていた有斗が、盛大に頬を膨らませて訪ねてきた。
ちょうどお風呂から上がったところだったので、肩にかけたタオルで髪を拭きながら応対する。
「どしたの、そんなにむくれて」
「……美月と付き合ってんの隠せって、近藤さんに言われた」
子どもみたいに唇を尖らせている有斗に、わたしは目を白黒させる。
「えーっと……」
「やっと俺のもんだって言えると思ったのに……」
「言うつもりだったの!?」
思わず声を大きくしたわたしを、有斗はじとっとした目で見た。
「何その反応」
「だ、だって。普通の高校生ならまだしも、有斗だよ? 付き合ってるって知れたら大騒ぎになるよ」
「周りなんか言わせとけばいいじゃん」
「そういうわけにもいかないって、有斗が一番わかってるでしょ?」
有斗は人気モデルだ。
ドラマ出演を機にSNSのフォロワーは急増したし、初めて挑戦した演技だって評判は悪くないみたいだと結子から聞いている。