たとえば、こんな人生も②
「ね!ね!可愛いでしょう?」

「美冬達のセンス、最高でしょ?」


姉さん達の呼び掛けで
はっと我に返った様子のいつきさんは
「そうですね」と笑顔で頷きながら、私に近付く


「ひなたちゃん、可愛いよ」

「…姉さん達も、いつきさんも
身内びいきなだけですよ」


久しぶりに顔を見て話せて、嬉しいものの
なんとも言えない状況下でのことだったから
若干戸惑いがちに声を返す


「そんなことないよ」


苦笑を浮かべる私の前に跪いて



「……いつきさん?」



私の右手を取って



「…思わず、見惚れちゃうくらい」



その手の甲に唇を寄せ



「可愛い」



まるで、王子様がお姫様に愛を囁くように
私を見上げて、微笑むいつきさん



……



一瞬の沈黙の後

一部始終を見ていた
周囲の人がざわつき始める



「…やば、公開告白?」

「てか、あの人、まじイケメン」

「絵になるわー」

「やるな。彼氏」

「女の子、赤くなってるじゃん
かわいい~」



そんな声が耳に入り
慌てて、自分の顔を隠すように
空いてる手を口元に移動させる



「……ねぇ、アリサ
ひなたのあんな顔、初めて見たんだけど」

「…あら。奇遇、私もよ」



驚いたような姉さん達の
そんな呟きも耳に拾ってしまって
ますます、顔に熱が集まる



「ほらね、可愛い」



立ち上がったいつきさんは
真っ赤な顔で黙り込む私の頭を撫でて
いたずらっぽく笑った
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