辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「あーー王女よ、あなたが私の望みを叶えられるというのは、本当か?」
「はい!もちろんです!私ならあなた様の為なら何でも……」
「何でも…………か。では私の望みを言おう。……あなたの首を差し出せ」
「え?」
「出来るだろう?私の為なら何でも何でも出来るのだから…………出来ぬのか?まさか私に嘘を申したと?」
あえて無理難題を吹っ掛けてみる。まぁこの王女にそのような気概はない……案の定怯えて後退りし始めた。思った通りの口先だけの人間だったな……
「………………ふん……お前達は自分達の保身の為にロザリアを喜んで私に差し出したではないか。彼女は何も持たずにその身1つで我が国に来た。自分の侍女の為に命を差し出した事もある……お前たちはそんな彼女を利用した挙句、自身の欲望にまみれ今度は彼女を連れ去り、最後まで己の保身に走った。そんな人間に私の望みを叶えられる、だと?……………………笑わせるな!!」
この者たちは自分達のしてきた事がどれほど下劣で最低な事かを全く分かっていない。私が彼女を所望したというのはもちろんだが、この王族たちは喜んでそれに応じた。自分の家族を守ろうだなんて少しも思ってはいない。
ロザリーがどうなろうと知った事ではなかったのだ。彼女を差し出せば国政をその手に戻せるという条件に尻尾を振って乗ってきた。
私はそんな人間の口車に乗るほど阿呆ではない。それに――――