制服レモネード

「ほんと、そういうとこ変わらないな〜。じゃあ、梓葉ちゃん、また今度ゆっくり話せると嬉しいな」

夏穂さんはそう言って私に名刺を手渡すとそのまま行ってしまった。

「……なんで、“ただのお隣さん”なんて言ったの」

「えっ……それは……もし矢吹さんの仕事関係の人なら、私みたいなのと付き合ってるって思われたら仕事に影響しちゃうんじゃないかって……」

それと、もう一つ。

「それに、夏穂さんに私が彼女だってバレたら、矢吹さんにとって、都合悪いんじゃないかって……」

「なにそれ。都合悪いとかそんなのないよ」

なんで……。

私の方が傷ついているはずなのに、なんで矢吹さんの方が機嫌が悪いんだろうか。

「都合悪いのは、梓葉の方なんじゃないの」

「えっ、どういう意味ですか!私はなにも……っ」

自販機の側面と矢吹さんに挟まれて、矢吹さんの唇が私の唇を少し強引に塞いだ。

いつも優しくキスをする矢吹さんしか知らないので、身体が強張って力が入る。

「……っ、ちょ……矢吹さん、」

幸い人の歩いているところからは死角になっているけれど……。

矢吹さんのキスはどんどん私の呼吸を荒くさせる。
まるで噛み付くみたいに───。

「っ、矢吹さんっ!」

私が少し強い口調でそう言って唇を避けてから、やっと矢吹さんは唇を離した。
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