制服レモネード
「で、考え事って?」

ジッとこちらを見つめたまま、私が発するのを待ってる龍ヶ崎くん。

「えっと……」

恋煩いなんて、恥ずかしすぎるよ。

「まぁ、話したくないならいいんだけど。追試、頑張れよ」

「うん……ありがとう」

私が小さくそういうと、龍ヶ崎くんは腰を上げてズボンのポケットに手を突っ込み、何も言わず、振り返って歩き出す。

龍ヶ崎くんの背中を目で追う。

根はきっといい人なのに、あの容姿と威圧感満載の目つきのせいで、先生に目をつけられてクラスにまだ馴染めていない様子。

みんなとうまくいったらいいのに。
私は彼のために何も出来ないけれど。

「龍ヶ崎くん!」

勢いよく名前を呼ぶと、図書室にいた人たちが全員私に注目して、カウンターにいた図書委員の生徒とバチッと目があった。

まずい、静かにしなきゃいけないところなのに。

私は、みんなにペコっと頭を下げてから、名前を呼ばれてこちらを見ていた龍ヶ崎くんに再び目線を合わせる。

「追試、頑張ろうね!」

私が小さくそういうと、龍ヶ崎くんは、口パクで「バーカ」と言って、少し口角を上げてから、図書室を後にした。
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