【Amazonベストセラー入りしました】偽花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとハラハラしていたらイケメン王が溺愛してくるんですが?

9(国王視点)

 ラドリア国のリオ・ナバ王は、恋や愛を知らない。
 知らないというよりも、遠ざけて生きてきたといった方が正しいのかもしれない。
 不毛の地と呼ばれるラドリア——。
 もう何百年もカラカラに乾いた気候が続いていて、農作物はもちろん草木もまともに育たない国だ。河は干上がり、水もない。家畜を育てる餌が育たないので、豚や牛も飼えなかった。
 だからラドリア国民はいつも飢えていた。
 そんなラドリア国を軍事国家として育て上げ、なんとか外貨を稼げるようにしたのが、若きリオ・ナバ国王なのだ。
 リオ・ナバの父である前国王は、リオ・ナバがまだ十六歳のときに崩御(死亡)した。十年前のことだ。
 リオ・ナバは、たくましい体と類まれな美貌だけではなく、高いインテリジェンス(知性)にも恵まれていた。その頭脳をフルに使って次々に改革を進め、豊かな財力を持った国にラドニアを育て上げたのだ。
 恋愛にかまけている時間はまったくなかった。
 ほんの数刻前までは⋯⋯。

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