【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 「父上、先ほどクラレンス公が仕事を休んでいるという話を聞きましたが……」

 「ああ、そなたも聞いていたか。なんでも娘のオリビア嬢が高熱を出してな……なかなか下がらないようだ。公爵もやつれてきているし、王宮医を派遣してやったのだが…………」 

 そんな事は寝耳に水だった。なぜ私だけが知らないのだ。私は婚約者だぞ…………学園の皆は知っているのか?彼女に関して自分が真っ先に知らされていない、という衝撃の事実に父上に頭を下げて、すぐに公爵邸に急いだ。


 そこで弱々しく眠っている彼女と対面する。手を握り「オリビア」と声をかけても返事はない。
 まだ熱に浮かされて顔を赤くしている彼女の汗を拭いてあげると、気持ちよさそうにタオルにすり寄ってきた。幼い頃のオリビアを見ているようであの頃の気持ちがよみがえる。あんなに仲が良かったはずなのに今はとんでもなく遠い距離が出来てしまった。私はずっとオリビアに囚われていたんだな……自分の心に今更気付いたが、目の前の彼女は目覚める気配はない。早く目覚めてくれ…………とその日は祈る事しか出来なかった。


 そうして6日目にオリビアが目覚めたという知らせが入る。嬉しくて一刻も早く駆けつけたい…………しかし、今まで散々冷たい態度をしてきた自覚がある私が、突然駆けつけるというのもおかしな話だ。ここは一旦冷静になって、少し体力が回復してから訪ねよう。
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