【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

ソフィア



 女の子はゆっくり、ゆっくりと目を開け……目の前にいる人間の顔に全く覚えがないのかビクッとした後、目を見開いた。
 
 目玉が飛び出てしまいそうね…………大きな目が零れ落ちそうなくらい見開いて、少し震えている。さっき殴り飛ばされたばかりだもの、怖いわよね…………どうやって声をかけようかしら。私はそっとその子のベッドに腰をかけた。

 
 「気分はどう?びっくりさせちゃったなら、ごめんなさい。宿屋の前に倒れていたものだから…………勝手に手当てさせてもらったわ」

 そう告げると女の子は自分の左腕に目をやり、少し痛そうに顔を歪めた。自分が殴られてすぐに気を失ったから、状況が分からず混乱しているのね。

 
 「腕、痛いわよね……ここ、肩は動かせる?」

 
 骨折したのは左前腕部なので肩から上腕部は動かせるだろうけど、動かしたら骨折した部分が痛まないか心配。確認の為聞いてみると、女の子は肩を動かしたり肘を折ったり伸ばしたりをして見せてくれた。
 

 「あなたはとても理解力があって賢いわね。ありがとう。それほど痛まないなら良かったわ」

 
 そう言って笑うと、女の子の頬が赤らんだ………………可愛い……あんまり可愛いものだから頭を撫でながらよしよししてしまう。
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