【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

朝のひと時


 空が明るくなり目が覚めると、ソフィアは隣でスヤスヤと寝息を立てながら眠っていた。
 
 良かった…………昨日は展開が急過ぎて状況が呑み込めていない様子だったから大人しく寝てくれたけど……実は夜中にいなくなってしまうのでは、と度々目覚めては隣にいるかを確認してしまったのよね。
 そんな心配もなくスヤスヤ寝ていたので最後は寝落ちてしまったのだけど。
 
 まだぐっすり寝ているようだから、起こさないように着替えましょう。そう思ってベッドから下りようとすると、腕をガッシリ摑まれる…………そっとソフィアの方を向くと、どうやら少し寝ぼけているようだが離さないとばかりにしがみついているようだ。左腕は痛いはずなのに必死に私の腕を掴んでいる姿が、胸を締め付ける。
 頭を優しく撫でてあげると、ソフィアはパッと顔をあげた。

 
 「おはよう、ソフィア。」

 
 まずは朝の挨拶をしてみる。すると小さなか細い声で「は……よ…………ざい……ま…………」と聞こえた。
 
 声は出せるのね。昨日は一言も発しなかったので、もしかしたら声が出せないのではって心配していた。言葉が理解出来ないわけではないようだし、声も出せる。
 瘦せ細ってしまっているから、声を出す力が低下しているのかしら…………まずは腹ごしらえしなきゃだわ。
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