【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
転がったついでにふと空を見上げると、ヴィルの顔がぬっと出てきたのだった。私はびっくりして女の子を捕まえていた腕を離してしまい、その子はそのまま走り去っていってしまった。
「ヴィ、ヴィル…………こんにちは」
「…………随分楽しそうだね」
意地悪な顔をして笑いながら、草まみれの私を起き上がらせてくれたのだけど、肩を揺らしながら笑っていて、私の恰好を見て笑いをこらえられない様子だった。
「……そんなに笑わなくてもいいじゃない…………」
「ご、ごめん…………凄い事になっているな……ははっ」
「……………………」
すっかりふくれっ面の私の頭の草を払い退けて、額にキスをすると、頭をなでなでし始めたので違う意味で顔に熱が集まってきた。
「そういえば、もうすぐヴィルも学園を卒業なのよね?」
「ああ、最近は仕事が忙しくてあまり通えていないけど、2か月後には卒業を迎えてプロムに出席しなければならないな」
「学園に通ってる人はそういうのがあるのね。そういえばリチャードも先日出席するって言ってたわ」
「そうか……オリビアは私と出席してくれないのか?」
「え?」
ヴィルがいじけたように言ってくるので、突然の言葉に変な声が出てしまった。プロムは卒業記念パーティーというもので、卒業生は皆出席する事になっている。
「私は学園の者ではないし、ましてや年齢も違うから出席しないものとばかり……」
「私のパートナーとして出てほしい」
こういう時にキリッとした王子様風に言ってくるのが本当に……好きな人にこんな風に言われたら、私に断るなんて出来るわけないじゃない。
「……はい」
私の返事をもらったヴィルは、またドレスを贈らせてほしいとだけ笑顔で告げて、颯爽と去っていたのだった。
仕方ない人ね……でも彼にとって晴れの日に一緒に出席出来るのだもの、とても楽しみだわ。