【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
――――プロム当日――――
「…………マリー、変じゃない?大丈夫?」
「変なもんですか!お嬢様が変なんて事は天地がひっくり返ってもあり得ません!きっと殿下もメロメロですよ~」
「メロメロって……」
「オリビア様綺麗!」
「ありがとう、ソフィア!」
今日はヴィルが学園を卒業する日だ。昼間に卒業式典が行われ、夜には卒業記念パーティーが開かれるので、私はそのパーティーにパートナーとして出席する為に朝からせっせと用意を頑張っていた。
私も好きな人の為にオシャレするなんて、すっかり女子している感じね。
でもそれも悪くないなんて思っている自分がいる……生きているからこそって事だし、幸せな事だから。
「お嬢様、殿下が到着しました!」
「すぐ行くわっ」
私はすっかり支度を終わらせていたので、彼の待つエントランスに向かった。階下では正装をしたヴィルが、そわそわしながら待っている――――
「お待たせ」
私の姿を見つけると目を細めて駆け寄り、スマートに手を差し出してくれる……最初は生まれながらの王子様としての所作に寒気を覚えていたくらいなのに、今は素敵って思えるわ。
そんな自分の変化が嬉しかった。
「…………今日も一段と綺麗だよ」
「ありがとう、あなたも素晴らしいわ」
「では行こうか」
ヴィルは満足そうに私の手の甲にキスを落とし、馬車へと誘ってくれた。
今日のドレスも全部彼が揃えてくれたもので、ハイウェストのエンパイアラインのスカートに袖口は流れるように大きいベルスリーブで、どこかの国の王女様のようなドレスだった。
布地は白に近いベージュからピンクラベンダーへのグラデーションが綺麗で、宝石にはブラックダイヤモンドがアクセントに使われている。
プロムの会場に着いて、入場する為に入り口で待っている間、廊下では私たち2人だけだったのでドレスのお礼を伝えてみる。
「今回も素敵なドレスをありがとう。とてもエレガントなデザインで素敵だわ」
「プリンセスのようなデザインだろう?君は私のプリンセスだから……」
「もう!すぐそういう事を……」
意地悪な表情でからかってくるので、いつものように返すと、ははっと大きな口を開けて笑うヴィルを見ながら、今夜くらいは素直に自分の気持ちを言ってもいいかなと思った。