【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「どうして?」
「私が幼い頃に戻ったら、今の君と凄い年の差になる」
「え…………ヴィル、もしもの話よ」
「私が大きくなった時には君はもう結婚して、他の男のものになっているだろう?それではダメだ」
私がなんとなく言った言葉に対しての彼の返答に、思わず目を丸くしてしまう。
本当にそうなった事を想像して話をしているの?
腕を組みながら憮然とした表情でそう言ってのけるヴィルを見て、心の底から笑いがこみ上げてきた。
「ちょ、ちょっと……ふふっ、あはは……! 何の想像をしているのよ」
あまりにもバカバカしくなって私が声をあげて笑うと、ヴィルも笑顔になり、馬車の中が笑い声でいっぱいになった。
大人しかったかと思うと、突然突拍子もない事を真剣に話すし、一緒にいて飽きない人ね。
そんな事を思いながら笑い合っていると馬車が停まり、どうやら邸に到着したようだった。
「あら、もう着いてしまったのね。 送ってくれてありがとう」
「いや、礼を言うのは私の方だ。 ありがとうオリビア」
そう言ってお礼を返してくれたヴィルに対して、私も笑顔で返す。
もう大丈夫そうね。
「じゃあ、行くわね」
馬車の扉を開こうとすると、その手をヴィルが止めて、彼の顔が近づいてきた。
振り向きざまの触れるだけのキスだったけど、ちょっぴり離れがたい気持ちになったのは彼には内緒にしておこう。
「また10日後に迎えに来るよ」
「わかったわ、準備して待ってるわね」
馬車を下りる時だけでなく邸の入り口までしっかりとエスコートしてくれたヴィルは、先ほどとは打って変わってとても穏やかで柔らかい表情をしていた。
すっかり最近のヴィルに戻っているように感じ、ホッとしながら邸の中に入っていったのだった。