【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
扉を開けて出ようとした瞬間、船首の方から大きな音が聞こえてくる。
――――ガタガターンッ!!――――
船長室にいた皆が驚き、急いで音のした方を見ると、船首の方にある貨物室へ行く階段の手前で大きな荷物の上にぐったりとしているマリーがいたのだった。
「マリー!!」
私が駆けつけた時、マリーの顔は真っ青で、物凄く体調が悪い事だけは伝わってくる。
「マリー!どうしたの?何かあった?!」
「お嬢様……申し訳ございません~…………気持ち悪くて……」
「え、それって……」
「ちょっと退けてくれ」
マリーの心配をしていた私の横に船長のガイアス卿がやってきて、マリーの様子を一通り見た後、彼女をヒョイと抱き上げた。
「きゃっ、な、何をするのです……!」
「大人しくしててくれ。船首の方は揺れやすいんだ。船酔いしたのだろうから、休めるところへ連れて行く」
「私にはお勤めが……」
具合が悪くても自分の勤めを果たそうとする姿が、前世での自分と重なってしまうわ。
マリーが具合悪いのに無理してそのまま帰らぬ人に……なんて事態になったら私の方が立ち直れないし、この世界に転生した意味がなくなってしまう。
公爵家を、彼女を失いたくなくて頑張ったのだから、マリーにはちゃんと休んでもらわないと。
「マリー、頑張り過ぎないで。荷物くらい皆でやればいいんだし、心配しないで休むのよ」
「お嬢様……申し訳ございません~……こんな少し乗っただけで…………うっ」
「話はまとまったようだし、下の船室に行くぞ」
今にも吐きそうなマリーを颯爽と連れて行ってしまうガイアス卿……うーん、男前だわ。
違う意味でマリーが心配になってしまう。
マリーを休ませてきたガイアス卿はヴィルと少し話し込んだ後、いよいよ出港の時間になったので、私たちを乗せた船はゆっくりとドルレアン国に向けて出港したのだった。