【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「分かったわ、一緒に行きましょう。イザベル、その代わり……」
「はい、なんでしょう」
「操舵手を務めるのは諦めてね」
「………………っ……承知いたしました」
「「よし!」」
私たちのやり取りをひとしきり見守っていた船員達は、ガッツポーズしながら喜び、イザベルは何が起きているのか分からないと言った表情をしている。
良かった……私もホッと胸をなでおろし、長い黒髪の男性に改めて話しかけた。
「あの、あなたが船長さんよね?」
「はい、いかにも私がこのロイヤル・ハミルトン号の船長、ガイアス・ブライトです。ご挨拶が遅れて申し訳ございません、オリビア様」
そう言って頭を下げてくれた船長は、先ほどの喧嘩腰だった時とは打って変わって紳士の挨拶をしてくれたのだった。
この人はブライト家の人間ね……オリビアは王太子妃教育が完璧だったから、貴族の名前を一通り覚えている。
その中で、ブライト家というのはこの辺りを治めている諸侯で、王族派だったはず。
ブライト家の次男、ガイアス卿――――この船の船長を務めるという事は、彼の主はヴィルという事なのかしら。
年齢はガイアス卿の方が上だし学園で会う事もなく、私とは面識がないので分からなかったのかもしれない。
これからお世話になるのだから、仲良くしておいた方がいいわね。
「ガイアス卿、私も含め皆がお世話になります。よろしくお願いしますわ」
「ああ、オリビア様は話が通じそうで安心しました」
ガイアス卿の言葉に私は苦笑いするしかなかった。貴族の令嬢が操舵手をすると言い出すなんて、前代未聞だものね。
私は船長と握手を交わすと、イザベルとソフィア、私の3人で船長室を後にする事にした。