【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「我が国で過ごす数日間、オリビア様にとって有意義なものになるように私も真摯に務めさせていただきたいと思っております」
「そうですか、よろしくお願いいたします」
私が顔を引きつらせながら答えると、ヴィルがレジェク殿下から私の腕を引き離してくれて、ホッと胸をなでおろす。
そんな私たちのおかしな雰囲気をバッサリと切るように話に入ってきたのが、背の低い少し背中を丸めた年配の男性だった。
「そろそろよろしいですかな?」
「ああ、ムンターニャ宰相か。手短に頼む」
レジェク殿下の言葉で彼がドルレアン国の宰相である事が分かる。とっても悪そうな顔をしているのだけれど、背が低く威圧感はそれほど感じないわね。
でもレジェク殿下といい、ムンターニャ宰相といい、どうしてこの国の人はねっとりと話すのかしら。
もう少し爽やかな人物と話がしたいと感じていた私の心を見透かすように、ムンターニャ宰相は一人の美少年を私達に紹介してきたのだった。
「こちらの者は我が国の言語とハミルトン王国の言語、両方が堪能ですので、通訳としてお連れくださいまし。きっとお役に立つ事でしょう……ひひ」
「そうなの、ですね……お心遣い、感謝いたします」
笑い方が…………少し薄気味悪い宰相の自己紹介を受けた通訳の少年は、私達の目の前に来てニッコリと微笑み、それは今までの怪しい雰囲気が一変するかのような朗らかな笑みだった。
「初めまして、ご紹介にあずかりました通訳を務めさせていただきます、ラスクルといいます。ラスとお呼びください」
そう言ってハミルトン王国の言語で挨拶をしてくれた通訳のラス……ふわふわした色素の薄い髪と笑顔が、ソフィアと同じように天使に見えるのは気のせいかしら。
身長は私よりは少し高いけれど、肌も白く妖精みたいで年齢を推し量る事が出来ないわ。