【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 私たちが馬車から下りてくると、領主館を預かっていた執事兼家令を務めているやや白髪交じりの口髭を蓄えた中年の男性が近づいて、恭しく挨拶をしてきた。

 
 「お待ち致しておりました、オリビアお嬢様でございますね。ここの家令を務めさせていただいております、ロバートでございます。覚えておられますかな?お小さい頃にここでマリーベルと共にお過ごしになられておりましたが……」

 
 ニコニコしながら穏やかに話す様子は小説にも描かれていたわね。この人が私の乳母の旦那様……という事はマリーのお父様じゃないの?!私とした事がすっかり忘れていたわ…………マリーと一緒にここで遊んでいた時の事も読んでいたのにマリーのお父様という認識が全くなかった。マリー達親子には本当にお世話になりっぱなしね。
 
 
 「ええ、しっかり覚えていますわ。あの頃も沢山お世話になったけど、今回もお世話になります」

 
 と挨拶をすると、マリーが「お父様、お久しぶりです」とロバートと抱擁をかわした。

 
 「お前も元気そうだな。しっかりとお嬢様にお仕えしているな?」

 「もちろんです!お嬢様の事なら誰にも負けません!」

 何の勝負かは分からないけど、いつものように鼻息を荒くして、自信満々に言うマリーに屋敷の皆もロバートや私もつい笑ってしまうのだった。
 

 
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