【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】
「ヴィル、そろそろ」
「……そうだな。陛下、妃殿下、我々はそろそろ退出いたします。また建国祭の際にお会いできるのを楽しみにしております」
「あ、ああ。分かった」
「ふんっ」
国王陛下と王妃殿下は曖昧な返事をしてきたので、私たちは顔を見合わせて謁見の間を後にした。
扉の外へ出ると、扉の外で待機していたゼフとイザベルが駆け寄ってきて、私たちの心配をしてくる。
「オリビア様!大丈夫でしたでしょうか?!」
「イザベル、全然大丈夫だったわ!」
「オリビア、先ほどは陛下に何と言ったのだ?」
部屋へ戻る道すがら、陛下とのやり取りをヴィルが聞いてくる。
私のあの話し方ではヴィルもよく分からなかったわよね。生活習慣病とか糖尿病とか日本での病気を挙げていたから何を言っているかも分からなかったでしょうし。
「あれはね、異国の病名を言ったり、健康的な生活をするにはという事を早口で言っただけなの。多分あの様子だと陛下も全く理解出来ていないと思う」
「ふ、ははっ、あの顔…………っ」
「ふふふっ」
イザベルとゼフは何があったのか分からないのでポカンとしつつ、私とヴィルはあの時の陛下の混乱した様子を思い出して吹き出してしまう。
「とにかく皆のもとへ戻りましょう」
「そうだな」
「はい!」
皆が返事を返す中、相変わらずゼフだけは無言で頷いていた。
そのいつも通りのやり取りがまた安心するのよね。
きっとソフィア達が首を長くして待っているでしょうし、解放感から足取り軽く、皆の待つ部屋へと戻っていったのだった。