【書籍&コミカライズ作品】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~【第三部完結】

 「うっ…………っ……」

 
 皆が駆け寄り、近くに座って声をかけてみた。


 「大丈夫?!しっかり……!」


 私の呼びかけに反応するかのように、徐々に瞼が開いていき、意識が戻っていく。

 色素の薄い髪が無造作に伸びているけれど、顔立ちは綺麗だわ……多分男の子でまつ毛が長い。

 そして救出された子供の中では一番大きく、最初は皆10歳くらいかと思ったけれど、この子は少し年上で12歳くらいかもしれない。

 様子を見ながらそんな事を考えていると、ハッと目覚めた男の子は突然上体を起こし、周りを見渡して、明らかに警戒するような素振りを見せた。


 「ここは……外?それにあんた達は…………」

 「お前、口を慎め!この方達は……」

 「ザンダ!!口を慎むのはあなたの方よ!」


 私は怒りを隠そうとせず、理不尽な態度に思わず大きな声で制した。

 大人が沢山いたにも関わらず、誰も彼らを助けようとしなかったくせに……許せないわ。
 
 気まずそうなザンダを無視し、子供の方へ向き直る。
 

 「いいの、気にしないで。あなたが助かって良かったわ。具合が悪いところはない?」

 「あんた…………」


 その子は私たちの事を見まわし、すぐに険しい目つきに変わっていった。

 なぜだか分からないけれど、どうやら敵認定されたって表情ね……でもその理由はすぐに知る事となる。

 
 「なんで……なんで助けた?」

 「え?」

 「なんで助けたって聞いてる」

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