目と目を合わせてからはじめましょう
 このままだと、トイレまで行くのにどれだけかかるかわからない? 漏れてしまう。お願い、早く帰ってください。

「いえ、そういう訳には…… お詫びを……」

「結構ですから。お帰りください」

 ああ、もうだめ我慢できない。私はゆっくりと立ちあがろうとした。

「どちらへ?」

「トイレよ!」

 雨宮を睨む。

 さっと近づてきた雨宮は、私をまた抱え上げて歩き出した。器用に片手で、トイレのドアを開けると、便座も上げ私を座らせた。

「お手伝いできるととは?」

「結構です。出って行って!」
 
何を手伝うっていうのよ!

雨宮は、大きな体を小さくして出ていった。

やっとの思いでようを足して出ていくと、トイレの前で雨宮が立っていた。そして、何も言わずに、また私を抱え上げるとリビングへと戻った。

ソファーに私を下ろすと、雨宮は私の後ろへと回る。

「痛いですが、少し我慢してください。

すると、私の両手を持上上げた。

「痛い!」

あまりの痛さに悲鳴をあげた。

「すみません、少し我慢してください」

 どんどんと腕を上に上げていく。痛いけど、気持ちい……

「痛っ! ふあぁっ」

 やばい、変な声が出てしまった。
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