結婚お断りします!イケメン准教授からの執拗なプロポーズ
「九条さん、北沢海人の事は諦めた方がいい」

バカだった。先生と結婚できるとどこかで思っていた。
私と結婚したら先生は全てを失う。私が先生を不幸にする。

――お母さんが死んだのは桜子のせいだ。お前は疫病神だ。

父の言葉を思い出した。
母が亡くなったのは私が熱を出したからだった。母は私を病院に連れて行く為に車を運転して事故に遭った。
後部座席に乗っていた私は軽い怪我で済んだけど、運転席の母は即死だった。

私が熱を出さなければ、母は事故には遭わなかった。優しい母が亡くなる事もなかった。

――桜ちゃんは本当に邪魔な子ね。お父さんも桜ちゃんは邪魔な子だって言ってるのよ。

実家を出るまで瑠璃さんに邪魔だと言われ続けた。
私が家族の平和を壊す存在だと疎まれた。

――桜餅といると不幸がうつるから近づかないでよ。

姫香にも言われた。
九条家で私はずっと邪魔者だった。私がみんなを不幸にする存在だと言われた。
父の言う通り、私は疫病神かもしれない。私と関わった事で先生まで不幸にしたら申し訳ない。

「九条さん。厳しい事を言ってすみません。九条さんに現実を見て欲しかったんです」

南係長が私の肩に手を置いた。
振り払う気力もなかった。胸が苦しくて堪らない。

先生とちゃんとお別れをしないと。
じゃないと先生が不幸になる……。
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