愛し、愛され、放さない
それからランチをとり、ソファでボーッとテレビを見ていると、百合からメッセージが送られてきた。

〚玲蘭、連絡遅くなってごめんね。
仕事が長引いて、今からランチなんだ。
玲蘭は何してるの?〛

【お疲れ様☆
私はランチが済んで、紅茶飲みながらテレビ見てるよ!】

〚そっか!
掃除、どうだった?
おばさん達に嫌なこと言われたりしてないかな?
嫌がさせされたりしたら、ちゃんと言うんだよ?〛

「あ……」

夜野のことを言うべき?
いや、でも、やましいことがあるわけじゃない。
お隣へのおすそ分けのようなものだ。

「ここで言わない方が、隠してるみたいだよね……?
よし!」

【今日、掃除にお隣のヤノさんが来たの。
それで、○○駅の裏の和菓子屋さんのシュークリームを頂いたよ!
ヤノさんのお友達が、そこの息子さんなんだって!
百合くん、気になってたみたいだし、帰ったら一緒に食べようね♪】

そう送ると、電話がかかってきた。

「え?え?
―――――百合くん!?」

『何か言われた!?』

「え?
少し話しただけだよ?
百合くんと同じで、お金を出し合って掃除は業者に頼めばいいのにねって言ってたよ(笑)」

『それだけ?』

「うん。
それで、シュークリームいらない?って言われて…」

『断りきれなかったんだね』

「う、うん…
あ、でも!
百合くん、食べてみたいって言ってたし!」

『そう…』

「百合くん?
怒っ…て、る…?」

『ううん。大丈夫だよ。
玲蘭のことだから、押しきられたんでしょ?』

「うん…」

『あ、もう僕行かないと。
大丈夫。あとは、僕が処理するから』

「え?」
(処理?)


――――――そして、その日の仕事終わり。

マンションに帰り着き、自宅に帰る前に手前の夜野の家に寄った百合。

チャイムを鳴らすと、インターフォンから夜野の驚いた声が聞こえてきた。
『………は?どうしたんですか?』

「少しいいですか?
時間は取らないので」

夜野が出てくる。
「はい?」

「すみません、お忙しいところ」

「いえ」

「これ」
“すみません”と言いながらも、表情一つ変えない百合。
淡々と、夜野に封筒を渡した。

表には“シュークリーム代金”と、書かれていた。
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