愛し、愛され、放さない
三日後――――――

友人の愛実とお茶をする約束をした、その日の朝。

「じゃあ、行ってくるね」
「うん」

「会う時間は、二時からだよね?」
「うん。
駅ビルのカフェで、三時間位で帰る予定だから……五時半には家に帰ってきてると思うよ」

「ん、わかった。
気をつけるんだよ?」
「うん」

今日は朝からいつにも増して離さなかった、百合。
着る服やアクセサリー、持ち物にまで目を配り、玲蘭の全てを管理していた。


百合が出ていき、玲蘭は家事を行う。
ランチを済ませ、一時半前にマンションを出た。

駅で待ち合わせて、向かうと……

「玲蘭ー!」
愛実が小さく手を振っていた。

「愛実!久しぶり!」

「久しぶり!
フフ…元気そうね!」

「うん!」


カフェに移動する、二人。
愛実が、窺うように言った。

「――――――結婚、したって聞いたんだけど…
ほんと?」

「あ…うん…」

「克広さんと?」

「………」
ゆっくり、首を横に振る玲蘭。

「じゃあ…別れたって、ほんとだったんだ…
噂みたいなの、聞いてたの。
玲蘭、別れたらしいって」

「うん…」

「ど……して?
あんなに、仲良くてラブラブだったじゃん!」

「……………私以外に、彼女…いた…の…」

「え……嘘…で、しょ…?」

「最初はね。
私も、信じられなかった。 
克広くん、誠実で優しくて、いつも微笑んでる素敵な一人だったから。
“あり得ない”って。
…………でも……写真、見せられて……」

「そ…なんだ……
…………で?旦那さんは?どんな人なの?」

「克広くんの、友達。
その彼が、克広くんのことを色々教えてくれたの。
慰めてもらってるうちに……」

「好きになってた…ってことか!」

「うん」

「今度、紹介して?」

「うん、もちろん!」 


それから―――――昔話に花を咲かせ、そろそろ解散しようという時。

「あれ?
愛実だ!」

「あ!カズシだ!」 
愛実の友人・カズシが、愛実に声をかけてきた。

「あ…」

この時の玲蘭の頭の中………

“男の人!離れなきゃ!!”

それだけだった。

「玲蘭、彼ね……私の―――――」
「愛実!ごめん!私、急いで帰らなきゃ!!」

「え!?玲蘭!?」

玲蘭は千円札を置いて、早々に店を出たのだった。
< 25 / 34 >

この作品をシェア

pagetop