キミに「好き」だと伝えたい
「浴衣も、その……お前に似合ってるよ」
うそ。まさか、海がストレートに褒めてくれるなんて。
てっきり、憎まれ口を叩かれるとばかり思っていたから。
「…………」
赤ちゃんの頃から今日まで15年間一緒に幼なじみとして過ごしてきた中で、海が私にこんなことを言ってくれるのは初めてで。
反応に困った私は、黙り込んでしまう。
「おい、純夏。黙ってないで何か言えよ」
海のほうを見ると、顔がゆでダコのように真っ赤になっている。
「……ぷっ。海の顔、真っ赤。可愛い」
真っ赤な顔の海はなんか新鮮で、悪気はなくつい笑ってしまった。
「う、うるせぇ」
耳まで赤くなった海は、ふいっとそっぽを向いてしまう。
「笑っちゃってごめん、海。褒めてもらえて嬉しいよ。ありがとう」
「おー。最初から素直にそう言えよな」
「はーい」
偉そうだけど、私はそんな海のことが好きだ。