キミに「好き」だと伝えたい


「ばーか。冗談だよ。お金なんていらねぇ。それに純夏、一昨日誕生日だっただろ? まだ渡せてなかったからさ、誕生日プレゼント」

「海……」

「俺今金欠でさ。300円で取った景品で悪いけど」

「ううん。全然悪くない」


私は、首を横にふる。


「すごく、すごく嬉しいよ」


私は海からもらったぬいぐるみを、ぎゅっと抱きしめる。


どんなに高額な物にも負けない、大好きな海の思いがこもったぬいぐるみ。


ずっとずっと、大切にしようと思う。



「なぁ、純夏。腹減った。屋台で何か買って食おうぜ」

「うん。そうだね」


当然のようにこちらへと伸ばされた海の手に自分のものを重ねて、二人並んで歩きだす。


それからは、ソースの香ばしい匂いにつられて焼きそばを購入して食べたり。


毎年行列のできる人気のたこ焼き屋さんのたこ焼きを、海と半分こして食べて。


海と金魚すくいでどっちが沢山金魚をすくえるか勝負をしたりと、お祭りを思う存分楽しんだ。


< 8 / 17 >

この作品をシェア

pagetop