愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
おかげで掬ったロールキャベツがするりと落ちていった。
「えーっと。
お父さん?
もう一回、言ってくれる?」
「だから。
うちが元、財閥家だからだそうだ」
聞き直せばなにか変わるかと思ったが、一言一句なにも変わらなかった。
うちが元財閥家だから?
なんだその理由は。
「わるいけど、元財閥家っていったってもう影も形もないよ?」
「そうだな」
父が、母の淹れてくれたお茶を飲む。
「なのにそんな理由で私が嫁に欲しいと?」
「そうだ」
父は頷いたが、やはりまったく理解ができない。
「なんで?」
「俺も知らん」
いや、父よ。
自分も理由を知らずに我が娘を嫁がせようとしているのか?
「とにかく週末、一度、会って話をしようってことになってる。
いいか」
「いいよ」
父の会社のために結婚するのはやぶさかでもない。
しかし、ジャッジを下すのは話を聞いてからでもいいだろう。
こうして週末、当事者である倉森宣利さんとそのご両親に会ったのだけれど、私を嫁にもらいたい理由はさらに衝撃的だった。
「えーっと。
お父さん?
もう一回、言ってくれる?」
「だから。
うちが元、財閥家だからだそうだ」
聞き直せばなにか変わるかと思ったが、一言一句なにも変わらなかった。
うちが元財閥家だから?
なんだその理由は。
「わるいけど、元財閥家っていったってもう影も形もないよ?」
「そうだな」
父が、母の淹れてくれたお茶を飲む。
「なのにそんな理由で私が嫁に欲しいと?」
「そうだ」
父は頷いたが、やはりまったく理解ができない。
「なんで?」
「俺も知らん」
いや、父よ。
自分も理由を知らずに我が娘を嫁がせようとしているのか?
「とにかく週末、一度、会って話をしようってことになってる。
いいか」
「いいよ」
父の会社のために結婚するのはやぶさかでもない。
しかし、ジャッジを下すのは話を聞いてからでもいいだろう。
こうして週末、当事者である倉森宣利さんとそのご両親に会ったのだけれど、私を嫁にもらいたい理由はさらに衝撃的だった。