愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「その。
我が社は私の祖父である源一が戦後、裸一貫で始めた部品屋が始まりだというのはご存じかと思いますが」
場所はホテルのレストランの個室、食事をしながら話そうとのことだが、実質お見合いだ。
向こうのほうが立場が上なのに、なぜが父親が申し訳なさそうに説明してくれる。
「祖父はその、自分は成り上がり者で、いくら会社が立派になったところで一流にはなれないと卑屈になっておりまして。
一族に上流階級の血を入れねば、と」
父親は完全に恥じ入っているが、その気持ちはわかる。
私だって、あれ? 今って昭和も戦前だったっけ? とか思ったもん。
「それで相手を探しまして、そちらの花琳さんに白羽の矢が立った次第です」
状況は理解したが、まだ謎が残る。
「あのー」
おそるおそる手を上げたら、視線が集中した。
一瞬怯んだが、かまわずに続ける。
「だったら元華族の方とか、財閥でも四ツ塚とか三星とかの方がいいのでは……?」
うちは十五財閥に名を連ねていたが、それでもかろうじてだと聞いていた。
しかも、もう影も形もない。
我が社は私の祖父である源一が戦後、裸一貫で始めた部品屋が始まりだというのはご存じかと思いますが」
場所はホテルのレストランの個室、食事をしながら話そうとのことだが、実質お見合いだ。
向こうのほうが立場が上なのに、なぜが父親が申し訳なさそうに説明してくれる。
「祖父はその、自分は成り上がり者で、いくら会社が立派になったところで一流にはなれないと卑屈になっておりまして。
一族に上流階級の血を入れねば、と」
父親は完全に恥じ入っているが、その気持ちはわかる。
私だって、あれ? 今って昭和も戦前だったっけ? とか思ったもん。
「それで相手を探しまして、そちらの花琳さんに白羽の矢が立った次第です」
状況は理解したが、まだ謎が残る。
「あのー」
おそるおそる手を上げたら、視線が集中した。
一瞬怯んだが、かまわずに続ける。
「だったら元華族の方とか、財閥でも四ツ塚とか三星とかの方がいいのでは……?」
うちは十五財閥に名を連ねていたが、それでもかろうじてだと聞いていた。
しかも、もう影も形もない。