愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
私も焦って、手を動かした。
おかげでぽちゃんと水に浸かり、引っかかったものの途中でこよりが切れてヨーヨーが落ちる。

「僕の勝ちだね」

目を向けると宣利さんが自慢げにヨーヨーを釣り上げていた。

「え、今の、狡いです!」

「狡いもなにも、勝負は勝負だろ」

おじさんにお礼を言って彼が立ち上がるので、私も渋々腰を上げた。

「無効ですよ、無効!」

「あー、あー、聞こえなーい」

完全に彼は私をからかって遊んでいる。
宣利さんってこんなに意地悪だったっけ?

「喉乾いてないか?
なんか飲むか?」

私は怒っているというのに、彼は笑って話題を変えてきた。

「……かき氷、食べる」

俯いてふて腐れ、握ってきた宣利さんの手を振り払う。

「んー。
これで機嫌直せ」

顔をのぞき込んできた彼は、人混みだというのに一瞬、私と唇を重ねた。

「……人が見てますよ」

顔が熱い。
熱くて熱くて堪らない。
なのに、今度は手を振り払えない。

「別にかまわない」

私の手を引き、彼は歩いていく。

「それでも人前はどうかと思うんですけど」

「そう?」

抗議しながらも口もとが緩む。
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