愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
私ってこんなにチョロかったっけ?
ううん、チョロくていい。

見つけた、かき氷の屋台の前で宣利さんは足を止めた。

「どれがいい?」

「イチゴ」

「イチゴとブルーハワイ、ください」

今度は私が財布を出すより先に宣利さんが払ってくれたが、懸念したとおり一万円札だった。
そもそも、彼が現金で買い物をしているところを私は今まで見たことがないので、一万円札でも持っているだけ奇跡なのかもしれない。

かき氷を受け取り、立ち並ぶ屋台から少し離れて食べる。
冷たい氷が熱を持つ身体によく染みた。

「けっこう美味しいな」

気に入ったみたいで、にこにこ笑いながら宣利さんはかき氷を食べている。
それはいいがさっきから、彼に向かう視線が鬱陶しい。
そりゃ、こんな高身長でイケメンの男が立っていたら、目を引くのはわかりますよ?
でも、彼は私の旦那様だっていうの。

「ん?」

少しでも彼は私のものだと示そうと、ぴったりと身体を寄せる。
そんな私を宣利さんは怪訝そうに見下ろした。

「ああ」

しかし少し周囲を見渡し、何事かに気づいたらしい。

「花琳」

「はい?」

呼ばれて顔を上げたら、唇が重なった。
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