愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
起き上がった彼は、近くに置いてあった眼鏡を手に取ってかけた。

「花琳の寝顔を見てたら僕も眠くなってきちゃって、一緒に寝たんだけど……。
悪かった?」

少し、心配そうに彼が眼鏡の奥からうかがってくる。
そんな情けない顔しないでよ!
ダメって言えなくなっちゃうじゃない。

「……ダメじゃないですけど」

「よかった」

私の返事を聞き、彼の右の口端が僅かに持ち上がる、途端にカッと頬が熱を持った。
あれ、演技だったんだ!
ほんとに意地悪なんだから。
……でも。
宣利さんに抱き締められていたのは、それだけ愛されているみたいで嬉しかったのも事実だ。

「夕食はルームサービスを取ろうと思ってるけど、どうかな?」

「ルームサービス……?」

別にわざわざそんなもの取らなくても、ホテルに入っているレストランで摂ればいいのでは……?

「ここで夕食を摂りながら花火を見るのもいいだろ?」

思わず、うんうんと頷いていた。
なんで宣利さんってこんなに素敵なことばかり思いつくのだろう?

それでも少し早めの時間にルームサービスを頼む。
やっぱり花火は暗くした部屋で見たい。

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