愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「大丈夫ですよ。
それに宣利さんが家にいるのに私が出掛けてるとかなったら、また嫌みを言われかねません」

典子さんはなにかと考え方が前時代的なのだ。
でもあの曾祖父と祖父の下で、そうやって自分を守ってきた感じがする。
だから私は彼女を憎みきれずにいた。

「ほら、早く出迎えないとまた、怒られますよ」

まだなにか言いたそうな宣利さんを半ば追い立てる。
彼が私を守ってくれるのは嬉しい。
しかし私は、守られるだけの女にはなりたくないのだ。

私たちが玄関に到着するのと同時にチャイムが鳴った。
先ほどの守衛からの連絡から考えて、早すぎる。
まさか、この僅かな距離を飛ばしてきたんだろうか。

「随分早いですね、姉さん」

宣利さんも同じ気持ちだったらしく、その声は嫌みがかっていた。

「普通でしょ」

平気な顔で典子さんは家に入ってきたが、普通じゃないから聞いているんですが?
いいもなにもまだ言っていないのに、彼女は勝手に家の中を進んでいき、リビングでどさっとソファーのど真ん中を陣取った。

「あー、喉が渇いた」

じろりと典子さんが、私を睨めつける。
反射的に背筋がびくっと伸びた。

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