愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
目の前に置かれたそれを、押し戻す。
それは私がマンションに置いてきた、結婚指環と婚約指環の入っているケースだった。
でも、今頃なんで?

「いや、これは君のものだ」

しかしさらに、ケースはこちらに押し戻されてくる。

「これは僕が君に渡したものだ」

「そうですが……」

だからなんだというのだろう?

「なら、これは君のものだ」

「えっと……」

困惑して目の前の小箱を見つめる。
さっきから宣利さんはなにが言いたいのかわからない。

「失礼します」

微妙な空気が流れる中、スタッフが頼んだものを運んでくる。

「ありがとう」

「失礼しました」

宣利さんにお礼を言われ、女性スタッフは僅かに頬を赤らめて下がった。
それに若干ムッとしたが、もう私には関係のないことだ。

「その」

場を仕切り直し、改めて口を開く。

「離婚したのでもう、私のものではないですが」

だからこそ、未練を断ち切りたくてあそこに置いてきた。
なのになぜ、今、目の前に突き返されているのだろう。

「離婚してもこれは、君のものだ」

「……は?」

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