愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
なんかコーヒー一杯二千八百円とか見えて喉が変な音を立てそうになった。
超一流ホテル、しかも高層階にあるラウンジとなればそうなるのかもしれない。

「こう……」

紅茶と言いかけて止まった。
こんなところだとポットで出てくる可能性が高い。
それだとカフェイン摂取量がオーバーしそうだ。

「……グレープフルーツジュース、で」

言い直してメニューを閉じる。
ううっ、出費だよー。
いくら三億の貯蓄があるとはいえ、庶民の感覚は抜けない。
それは倉森花琳として生きた一年間でも変わらなかった。
それに無駄遣いはできるだけ抑えたい。
だってこれから、子供のために使っていかなければならないのだ。

「わかった」

宣利さんは軽く手を上げてスタッフを呼び、自分のコーヒーおかわりとあわせて私の分も注文してくれた。

「それで。
渡したいものがあるとのことでしたが」

スタッフが下がり、用件を切り出す。

「ああ。
これだ」

テーブルの上を滑らされてきたのは、小箱だった。
それを見て中身を確認しないでもなにが入っているのかわかった。

「これはもう、私のものではありませんので」

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