愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
心配そうに宣利さんは眼鏡の下で眉根を寄せた。

「いえ、そんなわけじゃないんですけど……」

と言う端から、欠伸が出てくる。

「本当に大丈夫か?
眠いのなら……」

「いえ。
大丈夫ですので」

にっこりと笑顔を作り、これ以上なにも言うなと押し通す。

「大丈夫じゃないだろ。
そもそも健康第一みたいな君が、寝不足というのからおかしい」

けれど彼にはまったく効かないらしい。
かまわずにすぐに否定してきた。

「なにか困ったことでもあるんじゃないか?
それが気がかりで眠れないんじゃないか?
僕でいいなら相談に乗ってやる。
話してみろ」

しかもさらに、心配してくれる。
いい人なんだよね、本当に。
だからこそ、惹かれていたんだけれど。

じっとレンズ越しに彼が私を見つめている。
その目はどうしてか、心配でしょうがないと語っているように見えた。
こんなに私を思ってくれているのに、なにも話さないなんて気が引ける。
それにこれは、彼も当事者なのだ。

「その」

「うん」

言いかけたもののやはり、彼に子供を拒否されるのが怖い。
レンズを挟んで見つめあう。
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