愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
あの古くて大きな家を引き継いだなんて、やはり跡取りとして期待されているからなんだろうな。
……ちょっと待って。
ということは、私もあそこに住むようになるの?

「あの……」

「あの家に住めるようになるまであと数日はかかるし、花琳の部屋の手配もしなければならない。
そうだな……」

私の声など聞こえていないのか、宣利さんは軽く握った拳を顎に当てひとりでなにやら考え込んでいる。

「来週。
来週末に花琳を迎えに行く。
そのつもりで準備しておいてくれ」

ようやくまとまったのか、彼の顔がぱっと上がった。

「はい……?」

「業者はこちらで手配するから花琳はなにもしなくていい」

「はぁ……」

「復縁の手続きは顧問弁護士に相談しておく。
……ああ。
花琳とお腹の子を任せる病院も選ばないとな」

私を無視し、どんどん宣利さんの中で話が決まっていく。
そういえば結婚のときもそうだったなと遠い目になった。

ひとしきり段取りも決まり、帰りは宣利さんが送ってくれるという。

「途中で花琳が眠ってしまったら困るからな」

「うっ」

それは言われるとおりなのでなにも返せない。
< 52 / 194 >

この作品をシェア

pagetop