愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「そんな宣利に子供ができた?
ありえない」

腕を広げ、大仰に彼女が肩を竦める。

「ねえ。
本当にその子、宣利の子なの?」

「失礼ですね。
本当に僕の子供ですよ」

そのタイミングで宣利さんが戻ってきた。
お盆の上のカップからはふくよかなコーヒーの香りがする。

「そんな失礼なことを花琳に言うのなら、姉さんの分はなしです」

テーブルの上にふたつだけカップを置き、残りを彼が下げようとする。

「じょ、冗談に決まってるじゃない!」

慌ててひったくるように典子さんがカップを奪う。
それを見てくすりと小さく笑うなんて、宣利さんは性格が悪い。

「カフェインレスだから安心して飲んで」

そっと私に耳打ちし、ちゅっと頬に宣利さんが口付けしてくる。
しかも典子さんをちらりと見てにやりと笑うんだから、やはり性格が悪い。
おかげで彼女は苦々しげに顔を顰めた。

「ちょっと。
カフェインレスなんてマズいもの、飲ませないでよ」

典子さんはカップを口につけるところだったが、わざとらしく音を立ててソーサーに戻した。

「うちはすべて花琳ファーストなんです。
文句があるなら飲まなくてけっこう」

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