愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
ばっさりと典子さんを切り捨て、宣利さんはさっさとキッチンへ行ってしまった。

「なんなの、アイツ!
花琳、花琳って!」

典子さんはブチ切れているが、さっきからこれだけ馬鹿にされればその気持ちはわかる。

「ねえ。
あなた、アイツになにしたの?」

「さ、さあ……?」

聞かれても、困る。
反対に私のほうこそ聞きたいところだ。

「それで姉さん。
ここへ来た用はなんですか。
まだこの家に未練がおありで、僕に出ていけと?」

すぐに戻ってきた宣利さんは座った途端、口火を切った。

「そりゃ、この家にまだ未練はあるわよ。
次の当主にふさわしいのは私だし、その私がこの家を継ぐのが当然でしょ?
それをお父様もお祖父様も私が女だからって」

わざとらしく典子さんがため息をつく。
当主になれないのは女だからではなくその性格だからでは?
とは思ったが、黙っておこう。

「でも、家の話は一旦、おいておくわ。
私が当主にふさわしいと認められれば、自ずと手に入るんだし。
それまではあなたに預けておいてあ、げ、る」

わざわざ一音ずつ区切り、上から目線で典子さんがにっこりと笑う。
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