もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

14 芽生えた心

 キアラはダミアーノのことを愛していた。

 初めて会った日の、弾けるようなときめき。彼女の世界が変わる瞬間。
 それは幼い小さな恋心だったけれど、月日とともに抱えきれないほどにどんどん大きくなっていって。

 婚約者のことを心の底から愛しいと思った。彼以外には何も要らない。彼がいればそれでいい。彼のためならなんだってできる。
 彼への気持ちが膨らむと同時に、彼女の世界は狭まっていった。

 ダミアーノはキアラの全てだった。

 純粋な恋心は愛に変わって、それは次第に病的に濁っていった。彼女は奴隷のように彼の言われるがままになり、ついに人の道を外れ……最後は処刑されていった。

 とてつもない大きな憎悪を持って次の人生を迎えても、再び彼を愛してしまった。
 キアラの愛情は地中に根を張っていくように深く深くこびりついていって、それはもう完全に取り除くことはできなくなっていた。

 それも、

 これも、

(全部……魅了魔法だったのね…………!)
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