助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

風車小屋の少女③

「この村を助けてくれてありがとうね、あんたたち。それに色々手伝ってくれて……」
「いえ、昨日の羊肉の煮込み、すごくおいしかったです。ありがとう」
「まあまあだったな」

 簡素ではあったが、用意してくれた朝食をいただいた後、出発する三人にべネアたちは挨拶をしてくれた。

「何の旅だかは聞かないけれど、元気でね」
「ええ、そちらも」

べネアは女性にしてはしっかりと分厚い手のひらで、それぞれと握手する。ハーシアはメルのエプロンのポケットから顔を出したチタに指を伸ばし、ちっちっと振ると、寂しそうに頬を膨らました。

「ちぇ~、メルちゃんや皆ともっと遊びたかったな~」
「大事な用があるんだから勘弁しろ。まあ、べネアの仕事をちゃんと手伝って、親子仲良く暮らせよ」
 
「なによ、えっらそ~に。そっちだってそんなに年は変わらないでしょ。メルちゃん、顔は綺麗だけど駄目だよ、こんなやつに惚れたりしちゃ。きっと仕事はできないくせに、家ではふんぞり返ってばっかになるんだから」
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